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    • 2016.08.17 Wednesday
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    美容師として

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      新開地駅から神戸電鉄に乗り換えて、さらにどこかで三田行きに乗り換え北上する。

      買った新聞もほとんど読まず、のんびりした風景を見入ってましたが、あまりにものんびり走るのでいつ到着するか見当もつかず、ちょっと焦り出したころ目的の岡場駅に到着しました。

      駅前のバスターミナルから送迎バスが出ていて、それに便乗して行きました。バスは満員。

      丘の上の住宅街のさらに上、見晴らしのいい高台に、

      「アドベンチスト病院」



      という文字を見つけたときは。「ついに来たな〜。」という、何とも形容しがたい気持ちになった。

      アドベンチスト病院との出会いは古く、よく行くバーでよく合う外科医のO先生に、

      「治療の影響で髪が少なくなった女性のためにおしゃれなヘアウィッグはない?」

      という相談を受けたときから始まった。

      弊社は調剤薬局チェーンが母体なので、社長や専務に聞くと、

      「アドベンチスト病院というと、キリスト教系の病院でターミナルケア、いわゆるホスピスがあるところやね。」

      という返答がきた。

      「はあ〜、ホスピスですか。」

      その時以来、気になりはじめ、それでも当時はとても自分には無理と思っていたのですが、自分でちょくちょく調べだし、いろんな人にお話を聞き、本をお借りして読んだりしているうちにだんだん熱を帯びてきて、父の病気も手伝って、もともとのめり込む性格も災いし、ここ数か月で情緒不安定になるぐらいまではまり込んでしまった。

      食事していても飲んでいても赤いスケジュール帳を取り出してはメモし、仲良くしてもらっている外科医のH先生に、

      「出た〜!トオルノート!」

      と面白がられるのも構わず、聞いたことや調べたことを書き込んだ。今ではスケジュール以外の事でノートが真っ黒になってしまった。

      ホスピスの現状や将来のあり方について、普通にドクターと会話するようになり(どんな美容師やねん)、お客様にも話すようになり、さすがにたしなめられた。

      そんな経緯もあり、病院に到着した時には何とも言えない複雑な気持ちだった。

      今回の訪問は、弊店のお客様のI様のご親類がアドベンチスト病院にお勤めだという事で連絡を入れてくださり実現しました。

      お話をしてくださったのは村上寛看護部長で、何と言うか、この方がそこにいるだけですべてを緩和するような、やさしくて穏やかな人でした。

      会話していても目はそらさず、僕がどんな人物か見極めようとされているのが伝わってきました。

      それは当然の事なので、僕も正直な胸の内をお話いました。

      残念ながら、病院と古い付き合いのある地元の理髪店がカットに入っていて、カットのボランティアは足りているとのことでした。

      ただ、メイクやネイルなどしてあげたいというのは、緩和ケアチームの方々の共通の思いだという事でした。

      ホスピスでのボランティアは年々増え続けているらしく、実にいろんな特技を持った方が来られるらしい。



      音楽療法、アロマ療法、園芸療法等々、ハーモニカの得意な学生がぱっと来て演奏して帰ったり、お香をたいてハンドマッサージをしてくれるエステティシャンも来られる。美容師もそのうちの一人。

      ただ、特技を持った人がいつも必要なわけでないという。イベントの飾りつけや、医学的に支障が無ければベットの整理などの身の回りの事や、一緒に散歩したり、ただお話ししてくれるだけでもいいという。

      なるほど、お客様のN様が心配した通り、僕がこの世界に入り込んでいく要素が多分にある。

      村上看護部長ともお話しましたが、サロンでお客様と向かい合う姿勢と、ホスピスの患者さんと向かい合う姿勢はあまり変わらないと思う。むしろ、ホスピスで感じたり思ったりしたことの経験が、サロンのお客様との接し方がもっと良い風に変わるだけでなく、自分の行動や人との接し方、あらゆる考え方が良い風に変わるであろうことは思ったとおり感じた。

      美容師として、その道の専門家として、もっと技術や知識を深めなくてはならない。一層強く思った。結局こうなる(笑)

      ただ、N様がおっしゃる通り、人それぞれ感じ方があるので、ホスピスについての言動やブログに書き込むことは控えさせていただくことにしました。

      10月7日に前出のH先生の紹介でホスピス専属看護師のIさんとお話しする機会がありますが、ホスピスのお話はほどほどにします。

      でないと、紹介してくれたH先生が、「ホスピスの話ばかりでつまらん。」とへそ曲げられてしまいますから。(笑)

      ちなみに、併設されている教会は「プロテスタント」で、牧師の語源は羊飼いだという事を、この教会の牧師さんと受付の女性とお話ししていて知りました。鹿児島からこの教会に移られたばかりだそうで、



      「旅芸人みたいなものですよ。」

      と笑っておられた。この牧師さんにしろ、受付の女性にしろ、看護部長の村上さんにしろ、何ともやさしい目をされていたのが印象的だった。

      takiguchi







      カラーセラピスト

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         先日、いつもカットに行かせてもらっているデイサービス百年家さんで美容ケアについてお話しする機会があり、月曜日の夜、百年家さんの営業後にお伺いしました。

        今回は、百年家の取締役でカラーセラピストの播本奈保子さんの呼びかけで、美容師の僕、ネイリストの上田さん、百年家のお二人の計四人で行いました。

        播本さんは、大学で講義をされたり、大阪の大手美容メーカーでパーソナルカラーの講義を担当されたりと、講師活動をされる傍ら、施設でカラーセラピーによる心のケアを主なお仕事とされてきました。

        (左、播本奈保子さん。中、代表の播本聡さん。右、レイル代表の上田真代さん)

        カラーセラピーとは、精神的な躁鬱状態やストレスの鎮静、緩和のために、色彩が持つ心理的な効果を利用する療法のことで、アートセラピーもされるそうです。

        播本さん曰く、これから団塊世代の方々が続々介護施設に来られるようになり、多趣味の方が多いことから今までにない新しいケアが求められる時代が来るという事らしい。

        また、美容ケアは認知症の治療に大きな効果があるとのことから、美容師とネイリストとカラーテラピストによる「色と形とセラピー」による新しい美容ケアを模索し、理論化し、お年寄りに限らず全世代に対応できるようなものをつくりあげていき、いろんな場所で発表していくというなかなか大きなお話でした。

        播本さんが企画を進めていくうえで起こるであろう数々のリスクを上げていくと、すかさず上田さんがポジティブな内容に変換していくという絶妙の掛け合いでした。


        始まったばかりでお話しすることがほとんどないですが、とても素晴らしい企画になっていくことは集まったメンバー全員が感じました。

        それぞれが単独で動くより、3人で一人の利用者様の心と体、人間の全部(オリンパスのコピーです。笑)をサポートすることができます。


        施設にカットに行きながら、もっと何かできないだろうかと模索していく中、いろんな人に出会い、いい方向に導いてくださいました。

        次回は、10月10日に上田さんのサロンで行います。印象をカテゴリー分けした表にネイルやヘアスタイルを張り付けて、お客様との対話やカウンセリングから読み取る「似合せ」の方法をレポート用紙にまとめて提出します。播本さんは大学で講師をされていただけに、何だか教授と助手のような感じです。

        レイルと百年家は同じ開業3年目で、女性お二人ともお酒が大好きと言うことで、すっかり意気投合したご様子。

        この活動を通して、介護施設やホスピスの皆様に喜んでいただけたらとても嬉しく思います。

        また、この活動がサロンに来られるお客様に何かしら還元出来たら幸いです。

        今後の活動をご期待ください。

        takiguchi

        ネイリスト

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           先日、お客様のK様のご紹介でネイルサロン「レイル」のオーナー上田さんがご来店された。
          その時、上田さんから「介護施設にカットに行ってらっしゃるんですよね?是非一度連れて行ってもらえないでしょうか。」

          という申し出があり、ネイルと言えば介護はもちろん、ホスピスでもとても喜ばれると思っていただけに、突然のこの申し出は正直嬉しかった。

          介護施設に行く前に、一度打ち合わせしましょうと言うことになり、月曜のお昼にお伺いした。



          お店は、こしき岩筋の中ほどにある川沿いのビル2Fで、ガラス張りで解放感溢れる素敵な店内だった。もちろん、ネイルサロンに入るのは初めて。



          もうすぐ改装するとのことで、今とは雰囲気がガラッと変わるらしい。今度は男性のお客様にも来てもらえるように個室を考えているとのこと。



          お昼時ということもあり、夙川のユーロカフェまで移動した。http://projectworks.jp/eurocafe/index2.html

          昔から、お年寄りがお好きなようだ。

          「訪問美容をビジネスと考えてられますか、それともボランティアとして考えてますか?」

          と質問したところ、「ボランティアです。」とすぐ答えが返ってきた。

          もうこれだけ聞けたら充分である。

          「ボランティア精神を自分の中で養う。」とは、介護施設に行く前に社長から言われた言葉である。最初からお金をもらってしまうと「奉仕の心」なんて育ちようが無いからである。

          「爪は360度自分で見えるところで、いくつになっても爪が綺麗だと嬉しいもの。綺麗になるだけじゃなく、人の温もりが伝わる手と手のふれあいは、とても癒しになると思う。」

          と上田さんは言う。ホスピスについても聞いてみた。

          「ホスピスは特殊な世界。そこにおられる患者さんに気持ちが入り込んでしまうようなら最初から行くべきでないと思う。それこそ、ビジネスとしてドライな関係でいいと思う。そこにいらっしゃる方たちの気持ちを理解しようとしても無理だと思うし、その方たちも同情してなんかほしくないと思う。私たちが出来ることは爪を綺麗にしてあげることと、髪を綺麗にしてあげる事。それ以上は望んでられないと思うし、普段のサロンのように接してあげるほうが喜んでもらえると思う。」

          と、実に明快な答えが返ってきた。ホスピス関連の本を読み漁ってすっかり気おくれしてしまっている僕とはえらい違いである。

          直感で決めるタイプらしく、いいと思ったら何も考えず飛び込んでいくらしい。今回の件も直感で決めたのだとか。

          お酒が好きで、特にウイスキーが好きらしく、一人でバーにも行く。

          最近は走ることにはまっていて、この後も自宅近くの大阪城公園を走るらしい。

          つい先日も、直感に従ってトレイルランニングに参加した。25劼7時間かけて4つの山を越えたらしい。最後の坂を上る時は汗と疲労で顔も体もくちゃくちゃになってしまったらしい。

          「みんなに情けない自分を見せてしまいそうですね。」と言うと、

          「情けない自分をさらけ出すことも大事。」とさらっと言う。

          実にしっかりした方で、美人で明るく、さばさばしていて頼もしく、自分の意見をはっきり言うが相手に不快感を与えない。まだ20代だという。



          将来の夢は、高齢者向けの総合美容サロンを開くこと。

          「いつまでもお元気でおしゃれに敏感な女性でいてほしい。」と彼女は言う。

          弊社にとって、彼女との出会いは素晴らしい仕事の始まりを予感させるのに充分であった。

          彼女にとっても、うちのサロンや、介護事業部との出会いが素晴らしいものであり、また、彼女の夢の実現にお役にたてれば幸いである。

          ご紹介していただいたK様には、この場を借りてお礼を申し上げたい。

          ネイルサロン「レイル」には、下記のホームページをご参照ください。
          http://www.nailsalon-reir.com/

          takiguchi

          ホスピス

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             まさかこんなに早くにこの言葉がブログに登場しようとは思わなかった。

            ホスピスとは、ホスピスケア、緩和ケア、ターミナルケアといろいろな名称で呼ばれる、いわゆる終身医療と呼ばれていた療法である。しかし、まだほとんど理解していない。

            なぜ今、自分がホスピスなのかというと、いろいろ理由があるが、その中でも大きなの理由の一つに父の病気がある。

            父の病気は徐々に筋肉が硬直して動かなくなる難病で、年に数回しか会わないが、会うたびに確実に進行している。進行は早いほうだと聞いた。今や母の介添えなくしてトイレすら行けなくなってしまった。
            親はいつか死ぬ。当然のことで今まで嫌というほど聞かされてきたが、父の場合はいつかではなく、すぐそこまで来ている。そう、父は死ぬ。

            今、僕が「いつも死を考えながら生きています。」などというと、心療内科を紹介してもらえるだろう。自分が死ぬなど考えたこともなく、あと数十年は確実に生きていると思っているし、何事もなければきっとそうだろう。

            時間というものは、いまだに大量にあると思っているし、思っているからこそのんびり生きている。

            では、あと1年、もしくは半年であなたは死にますと突然言われたらどうするのだろう。
            そういう方たちがたくさんいらっしゃるのがホスピスケア病棟である。

            2002年、WHOの定義が改訂され、「生命を脅かす病気によって起こる問題に対処する」のが緩和ケアの新しい定義になった。新しい定義に従うと、緩和ケアを受けるのに末期であるかどうかは全く関係なく、いつでも近くで受けられる「当たり前の医療」への脱皮が今まさに求められている(日本ホスピス緩和ケア協会より)

            上記のように、ホスピスケアも変わりつつあるらしい。
            しかし、治療をあきらめた、死を選択したと思っている医師も少なくないと聞く。

            うちの実家はさぞかし暗いと思われがちだが、実は大変明るい。母と妹の罵り合い以外は、姪を中心に楽しく暮らしているらしい。ほぼ寝たきりの父の介護ベットに嫌がりもせず寝転がって本を読んでいる姪を見ていると、姪ということを超えて頭を下げたくなる。本当につらくて悲しいと人間は明るくなれるのである。

            ホスピスケア病棟にもそれと似た感じを受ける。一部の医師から死を選択したと思われているのに、ホスピス病棟は和やかで安らかなのだという。病棟には、家族で一緒に泊まれる部屋があり、花が植えられ、音楽が流れる。どこにも暗い要素がない。死を選択したのに、生きることにとても前向きなのである。

            そこでカットをさせてもらいたいと思うようになった。死を前向きにとらえ、生きることへの喜びを感じ、人生の輝きを取り戻した人たちに何かさせてもらうことはないだろうか。
            豊かな生活、豊かな人生(QOL)のサポートは弊社の企業理念の中に書かれている。自分にサポートできるとしたらカットを含めた美容しかない。

            「死ぬのは誰でも怖い。死ぬときは愛する人たちに手を握られながら看取られたい。それが僕のホスピスの原点」とは、仲良くしていただいている外科の先生の言葉。
            僕はホスピスをもっと知らなければいけない。もっと勉強しなければ。そういう思いが強くなりいろんな方とお話しする機会が増えた。今まで出会わなかった人たちと知り合う機会を得た。働きながら通信教育で福祉について学ぶ道も教えていただいた。

            「学ぶことで世界が広がる」(ジャン=ジャック・ルソー)
            ホスピスへの道を後押ししていただいた友人の好きな言葉である。彼女もまた、学ぶためにアメリカに行く。

            生活していく中で、多くの出会いや事象がものすごい勢いで目の前を通り過ぎて過去に流れていく。その中で何かしら自分の琴線に触れ、大きく共鳴して自分でも驚くほどその方角に向かっていく。

            今は取り留めのない激しい思いだけである。まだ何も知らない。父をはじめ、多くの人たちとの出会いが自分を変え、新たなステージに向かわせてくれた。

            今の自分を突き動かすのは、以上の事である。
            また、この場を借りて皆様にご報告したい。

            takiguchi

            最後の仕事

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               西宮市苦楽園の美容室「クロワール」です。
              今回は、訪問カットに行ったときのお話し。

              4月25日(月)
              AM9:00 明石市 市営住宅

               
               90歳をいくつか超えられている女性で、入院中、ご家族に寝たままカットしてもらったらしい。長さがバラバラで伸び放題だった。襟足を中心にすっきりとカットした。掃除して退出し、車に乗って移動中にアパートを振り返ると、女性が小窓から手を振ってくれていた。ヘルパーのS氏いわく、いつもああしてお見送りしてくれるのだとか。

              AM10:00 明石市 デイサービス「ひまわりクラブ」


               毎月1度、カットに来させていただいている当社のデイサービス。今回は女性と男性の2名。「前髪はカールが出来るくらいの長さを残して。」と、小さい声で必ずおっしゃる内気な女性と、いつも短く刈上げる白髪の男性。恐縮ながら、お昼はここで利用者様と同じものをいただいている。実に美味。

              AM11:30 明石市 有料老人ホーム

               
               当社のケアマネージャーN氏と一緒に訪問。入居料は数千万と聞いた。一人暮らしの男性で、最近引きこもり気味なのだとか。広くてきれいなロビーを抜けて、エレベーターで階上に行くと前で待っておられた。来るのが遅かったかもしれない。男性は物静かな老紳士で、カットの最中、いろいろ気を配って下さるとても優しい方だった。帰りはエレベーターの前までお見送りしてくれた。

              PM12:30 デイサービス「ひまわりクラブ」で昼食をいただく。
              PM13:00 山陽電車で垂水に向かう。

              PM13:30 神戸市垂水区 デイサービス「百年家」

               
               以前、このブログでも紹介させていただいたデイサービスで、念願かなって今日と明日の二日間、カットに来させてもらうことになった。庭の見える縁側に椅子を置いてカットすることに。


               
               他の利用者に冗談を言ってガハハと笑う陽気な女性と、庭に飛んでくる雀が気になるのか、「ほら、雀が来ましたよ。そこにいますよ。」と、カットしている最中ずっと教えてくれた物静かな女性の2名。日本家屋は光の取り方がやさしく、光と陰のバランスが絶妙で座っていて心地よい。利用者の中にも心地よさそうに寝ている方もいた。

              PM3:00 デイサービス「百年家」でコーヒーとお菓子をいただく。
              PM4:00 本社にて打ち合わせ

              PM5:30 明石市 個人住宅



               利用者様が病院から帰る時間に合わせてケアマネージャーS氏と訪問。ちょうど夕飯時で、前出のヘルパーのS氏(ケアマネージャーのS氏とは違う人。ややこしいくて申し訳ない。)が夕飯の支度をしている間にカット。大変な孝行息子だったいうこの男性は、今も独身だという。とてもやさしい方だった。夕飯は八宝菜ときんぴらごぼうだった。

              PM6:00 すべての業務終了

               今回は、人数が少なかったが、大体このように訪問させていただいている。カット後、後片付けしながら掃除していると、「今日はありがとう。またよろしくね。」と、やさしく声をかけてくれる。自分もそのつもりで、「またいつでも呼んでくださいね。」と返事をする。が、二度と呼んでもらえない事もある。お亡くなりになるからである。3月に入り、いつもカットさせてもらっていた方がお二人亡くなられた。どちらも白髪が綺麗な女性だった。そのうちの一人は、ショートカットの似合う可愛らしい老婦人で、前出のケアマネージャーのN氏もこの方を訪問することをとても楽しみにしていた。第一発見者はこのN氏だった。N氏は、女性である。ショックで何日もふさぎ込んだという。
               
               こんな話も聞いた。ある男性の話で、手足が不自由で、話すことも困難な状態だったが、いつも笑顔で接してくださり、カットし終わった後には「あ〜、あ〜。」と声を絞り出して精一杯のお礼を言ってくださる、とてもやさしい男性だった。その方がご自宅で亡くなられたとき、目を見開いたままだったという。検視の医師が瞼を閉じようとしても、容易に閉じなかった。人は、死ぬときの体の苦痛や心の状態が顔に出るらしい。医師は、「何か強く思うことがあったのかもしれない。」と言っていたらしい。後で聞いた話だが、この男性は身内から虐待を受けていたという。
               前出の亡くなられた老婦人の顔は、とても気持ちよさそうに微笑んでいたという。現場に駆けつけた消防員は、「いろんな現場に来たが、こんなにいい表情をしている人は見たことがない。」と言っていたらしい。この老婦人は、近々、長年住み慣れた今の家を引き払い、遠くの親類の家に引っ越す予定で、あまり気乗りしない様子だったらしい。この方の姪御さんが、「お祖母ちゃんはこの家を離れたくなかったのかな。」と言っていたという。お二人とも、最後にカットしたのは僕だった。

               このように、この現場は常に「死」と隣り合わせにある。お元気な方が、容態が急変してお亡くなりになる事も、多々ある。次また会えるという保障はどこにも無く、それほど「死」を近くに感じる。それでもみなさんはとても陽気にくらしている。よく笑い、よく歌い、レクリエーションに興じている。だからといって、「死」を軽んじたり、見ないふりをしているわけでもない。ヘルパーもケアマネージャーも要介護者も、常に心の片隅に感じながら過ごしている。「私らは、人生最後の時間を一緒に過ごし、そしてお見送りをしてあげる仕事。」と、ケアマネージャーのS氏は言う。
               S氏は、最後に訪問したお宅の男性の顔色が優れない事を気にし、何度も体調について質問していた。いつものS氏は、冗談を言っては大声で笑う、豪快で明るい女性である。そのS氏がいかにも心配そうな顔して聞いていた。利用者の男性は、そんなS氏に気づき、「大丈夫、大丈夫。心配ないよ。」と言った。ヘルパーのSさんが、台所で夕飯の支度をしている。糖尿病のこの男性のため、塩分と糖分は控えてある。その場にいる人たちが心の片隅に「死」を感じることは不謹慎なことではない。ただ、最後の仕事になるかもしれないという、恐怖とはまた違う、何か覚悟のようなもの感じながら接している。
               以上、介護の現場で感じたことを長々と書いてしまった。自分の仕事に対する自戒の意をこめて。

              takiguchi

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